「子育てに似ている」自然循環農法で作るお米と大豆 滋賀県・SHIBATA GROUND MUSIC 柴田義範さん[生産者をめぐる #1]

シェフの無添つくりおきが素材や製法にこだわる理由。
それは、人の想いもいっしょに届けたいから。

もしかしたら効率はよくないかもしれない。
だけど、おいしくて栄養たっぷりな食事を安心して楽しんでもらいたい。

そのために、私たちにできることを精一杯、手間隙かけて作っています。
それが実現できるのも、ひとえに日々想いを込めて食材を作っている生産者の方々の支えがあるからこそ。

妥協を許さず、ほんものを追求して丁寧に作る。
研ぎ澄まされた職人の技が、想いや歴史を紡いでいく。

私たちと同じ想いで食に向き合う作り手は全国にたくさんいます。

今回は、滋賀県で農業を営む『SHIBATA GROUND MUSIC』の柴田義範さんにお話を伺いました。

柴田さんのお米と大豆は、オリジナル味噌「FIT FOOD miso」の原材料として使用しています。

自然の循環の中で作物たちを育てること、それは柴田さんにとって”子育て”のように正解のないもの。
だからこそ柴田さんの作る食材には、季節がめぐるたびに新たな強さと美味しさを感じられます。

 

シェフの無添つくりおきでは「食材を選ぶ基準」として大切にしていることがあります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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変わらないもの。変えていくもの。

滋賀県で親子代々自然の力を限りなく生かした独自の「自然循環型農法」に取り組まれている柴田さん。

「同じことをやっていても、一つとして同じ作物は作れない」と語ります。

毎年毎年、天候はもちろん土の状態も違うため、前の年にうまくいったやり方がうまくいかないこともしばしば。

常に自然と向き合い、丁寧に手を入れていく。
根底は変わらずとも、繊細な自然相手に人間も向き合い方を変えることが大事なのだといいます。

大地に残してくれる贈り物のリレー、作物と土壌の力を信じること

柴田さんの畑では、お米を収穫した後、麦、大豆、そしてまたお米…
と、同じ土壌で複数の作物を循環させて作っています。

そうした中で、同じ土壌で作物を育てるこの循環は、実は理にかなっているそうなのです。
というのも、大豆を収穫した後、大豆は次のお米を育てるための栄養分を大地に置いて行ってくれるのだとか。

つまり、大地に残してくれた栄養分をお米がすべて吸収することで、人工的に肥料などを与えなくとも育つ強いお米になっていきます。

そうして作物が次へと残していった贈り物のリレーによって、作物自身がもつ力を最大限に発揮でき、環境と土壌が循環していく。
それが柴田さんが実践している「自然循環型農法」です。

母なる大地から生まれた「兄弟」

そして、同じ土壌で育てたお米と大豆は、いわば「兄弟」。

味噌は使用する材料がシンプルだからこそ、その出来は素材同士の相性に大きく左右されると言われています。

たとえ最高級の素材を全国各地から選りすぐったとしても、うまく馴染むかどうかわからないのが味噌づくりの難しいところ。
個性が強すぎて素材同士が喧嘩してしまうと、まとまりのない仕上がりになってしまうこともあるのだといいます。

そこで、兄弟のように同じ土壌で育ったお米と大豆で味噌を作ることで、素材同士が実にすんなり馴染んでいきます。
お互いの良いところを引き立てながら味を深めていくことができるのです。

1+1を何倍にも増幅できる、そんな力を宿しているのが、同じ土壌を母に持つ柴田さんのお米と大豆だと感じました。

本来の力を信じて見守る、子育てと似ている

兄弟とも言える作物たちですが、農業の観点からすると本来お米と大豆を同じ土壌で育てることは難しいと言われています。

米は水によって育つのに対し、大豆は水を嫌う性質があるため、一見相性が悪いもの同士。

祖父、父の代からずっと苦労して米、大豆、麦を作ってきた柴田さんですが、途中で諦めなかったのは「作物と土の力を信じてきた」から。
柴田さんの畑では不必要な除草剤や肥料などを極力使用しないため、昔は大豆畑が草だらけだった時期もあったといいます。

大豆本来の力を信じ、見守る。

「あくまで人間は、作物が持っている本来の力を最大限発揮できるよう手助けするだけだ」
という信念のもと、ひたすらに作り続けてきた結果が現在につながっているのだと言います。

一見簡単そうに聞こえますが、何かあったときについ手を出したくなるのをぐっとこらえて見守る、この寄り添い方はまるで”子育て”のようだと柴田さんの言葉から感じました。

”農家”であり続けたい 想いをのせて、これからも

「我が家は、”農業”ではなく”農家”なんです。これからもそうであり続けたい」

そんな柴田さんの農家の歴史、つまり”家族”の歴史から生まれた大切な作物たちが奏でる美味しさをじっくり味わいたくなりました。

めぐりつづける季節とともに、収穫の時期にまた柴田さん家族を訪ねたいと思います。

【SHIBATA GROUND MUSIC】
〒529-0343 滋賀県長浜市湖北町小倉696
https://sgm-kohoku.com/

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