シェフの無添つくりおきが「無添加」にこだわる理由
食品添加物とは、「食品の製造過程で、または食品の加工や保存の目的で食品に添加、混和などの方法によって使用するもの」と定義されています。
いつもの味や食感、色は、もしかしたら食品添加物によって作られたものかもしれません。
食品添加物があるおかげで、私たちはいつでも便利においしい食品が食べられるようになったという一面もあります。
しかし、その利便性の裏で、せっかく食材から取り入れた貴重な栄養素が食品添加物によって攪乱されたり、一緒に排出されたり、大切なビタミン・ミネラルを消費してしまうなど、カラダにとっては不必要な成分であると言えます。
保存料としてよく使用されている食品添加物「ソルビン酸カリウム」は、代謝される際にいくつかの酵素が使用されます。
つまり、これらの酵素を作る元となる「たんぱく質」や「ミネラル」が余計に消費されると考えられています。
せっかく摂取した栄養素を効率的に活用したいから、添加物不使用にこだわっています。(参考:Pharmacokinetic and Toxicological Aspects of Potassium Sorbate Food Additive and Its Constituents-Parvin Dehghan,etc)
私たちシェフの無添つくりおき では、“カラダに不必要な成分は一切使用しない” という考え方の元で食事作りを行っており、これらのリスクが考えられる食品添加物は使用しておりません。
正直、多くの労力がかかります。それでもこだわり抜くのには理由があります。
<目次>
添加物って誰のため? 経験から気づいたこと
シェフの無添つくりおきやを運営する
株式会社AIVICK 栄養R&D部門責任者の谷村徳二氏に話を聞きました。
谷村は元々地元・富山で無添加のお弁当やさんを経営しており、「ぜひいっしょに健康的な食事を作りたい!」とブランドづくりの仲間に加わることに。
無添加調理にこだわるようになったのは自身の体験がきっかけだったと言います。
普段アレルギーなどもないのに、ある日突然発疹に襲われたのは、富山でお弁当やさんを経営していたときのこと。元々学生時代に生物学を専攻していたこともあり、徹底的に原因を調べ始めました。
「まさか毎日食べているものが、自分の体に悪さをしている・・・?」
それが、食品添加物との出会い。
調べれば調べるほど、身近な食べ物にも多く添加物が使われているという事実を知ることとなります。
それからは、スーパーで買い物をする際は商品の裏側をチェックする癖がつき、添加物や中国産の原材料を極力避ける生活に。
ですが、自身でお弁当屋を営むうちに、ふと疑問が湧いたのです。
「家庭では料理をする際にわざわざ添加物を入れたりしないのに、なぜ販売する商品には入れるのか?」
食品添加物は先述のとおり、それぞれ目的があって添加されているものではありますが、家庭ではわざわざ色を付けたりはしないと思います。
食材の色を真っ白にするための漂白剤もまた然り。また、家庭では基本食べられる分しか作らないため、保存料も必要ありません。
では、なぜ販売する商品には入れるのでしょうか?
添加物は、作り手の都合が大きい
保存料は、より長い期間お客様に楽しんでもらうため。
着色料は、より美味しそうに見せるため。見た目から受け取る印象は大きく美味しさを左右します。
プルプルの食感にするのも同じ。お客様により「美味しい」と感じてもらいたいから。
「ビタミン配合」というのも、調理する際に失われた栄養を後から補うためだったりします。
これらは一見「お客様のため」に聞こえますが、よく考えてみてください。
すべてはお客様にたくさん商品を買ってほしいから。
「作り手」側の都合が大きいのではないでしょうか。
しかも、お客様はもしかしたら添加物が入っているからプルプル食感、ということにすら気づいていない可能性があります。
他にも、製造する際に効率よく簡単に作れる、という理由で使用されている添加物のおかげでコストを抑えられ、より安価でお客様へ販売できるメリットも。
添加物は「お客様の満足度を高める」という名目で、作り手の利益と利便性のために使われてきたのではないか、ということに私たちは気づきました。
「お客様のために」と言いながらも、その裏でカラダに不必要な、ましてや健康に影響を及ぼす可能性のあるものであればなおさら”不必要”ではないでしょうか。
これらは入れなくても作れます。
だって、家庭では入れなくても美味しく作れるんですから。
そこから、本当の意味で作り手の都合を捨て、極力不必要な添加物を使わない「無添加調理」を始めたのです。
”見えない”と”存在しない”は違う 「キャリーオーバー」とは
お店で食品を選ぶ際、商品の裏面を見たことはありますか?
一般的にお店で販売されている食品には、裏面に原材料の表示があります。食材はもちろん、調味料、先程登場した添加物も「基本的には」記載されています。ここにはちょっとややこしいルールがあるのです。
例えば、おせんべいを作る際に表面に醤油を塗って焼いた場合、醤油自体を作るのに使われた調味料はそのまま味としておせんべいに残ります。
しかし、醤油に含まれるカラメル色素や保存料、アルコールなどはおせんべいには効果が持ち越されていないため、原材料としての表示義務はありません。
つまり、醤油には実際含まれている添加物も、おせんべいの原材料としては表示されていないということ。
表示されていないからといって、「入っていない」とは必ずしも言えないのです。
効果が持ち越された添加物は、表示義務があります。
ですが、この「効果が持ち越されているのか否か」の判断は食品メーカーに委ねられており、明確な基準がないのが現状。
なので、「書いていない=入っていない」とは限らない、ということを知る。
まずはそこからはじまると私たちは考えます。
正直に、一つ一つすべてチェックする。”見える”からこその安心
では、食品を選ぶ際に何を信じたらよいのでしょうか。
私たちは、曖昧なことはしたくない。
本当の意味でお客様に”ちゃんとした”食事を届けるために、「正直」であることを徹底しています。
原材料に入っているものはすべてチェック。先程のおせんべいの例でいうと、醤油の原材料まで追うということです。
私たちは、調味料の原材料まで規格書を取り寄せてチェックを徹底しています。つまり、表示が免除されている添加物に関してもすべて確認するということ。
また、豆腐を固めるための「にがり」など、昔から食品を作るために不可欠とされてきたものは、4つに限り使用を認めています。
しかしながら、これらのチェック作業はとてつもない労力を必要とします。
それでも私たちは、「見たらわかる」状態、これが安心につながると信じて、正直に、真摯に向き合っています。
安易に添加物を「使わない」という選択、すべてはお客様のために
製造する上で、添加物不使用でも工夫次第で美味しく作ることは可能です。
例えば、多く販売されているパンにはイーストフードが入っています。
このイーストフードのおかげで誰でも簡単に、短時間で発酵するのでたくさん焼けるのですが、無理やり短時間で発酵させている分翌日食感と風味が落ちてしまう、というデメリットもあります。
では、使わないとどうなるのかというと、時間も手間もかかり、条件を見極める職人の経験も必要となります。
しかし裏を返すと、丁寧に時間や手間をかけて作れば、添加物を使わなくても風味や美味しさを実現できるということなのです。
安易に添加物を使用せず、人の手で丁寧に作るということ。
健康に配慮しながら美味しさを追求する、”ちゃんとした”食事を探しているお客様のために、私たちは手間暇かけてでも厳しい目で丁寧に作り続けます。
「どんな食事が届く?」
「家族が気に入ってくれるか心配」
という方のために、実際にシェフの無添つくりおきをご利用いただいた声をご紹介しています。