発達障害の子供の特徴とは?保育士が教える優しい基礎知識

幼児期は好奇心が旺盛な時期なので、1日中駆け回っているような元気なお子様がほとんどです。しかし、元気いっぱいのお子様をみて「落ち着きがないのは普通なの?」「わが子は発達障害なの?」と不安に感じるママ・パパが近年増えているようです。

 

そこで今回は、保育士であり発達障害児の母でもある筆者が、『発達障害児の特徴』や『理想的な関わり方』について詳しく説明していきます。

子育てに役立つ情報も盛りだくさんなので、ぜひ最後までご覧くださいね。

 

発達障害とはどんな病気?

発達障害(ADHD・ASD・LD)とは、得意不得意がでこぼこしている病気です。そのため、発達障害をお持ちのお子様は苦手分野で失敗することが多いので、生活に不便を感じやすいという特徴があります。

 

したがって、苦手分野がある場合は適切なサポートを受けられるように環境を整えるようにしましょう。また、苦手分野とどのように付き合っていくべきかお子様と話し合うのもおすすめです。

そして、苦手分野にばかりしばられずに、得意分野を伸ばすように心がけることも大切になります。

 

極端な話ですが、本人が不便を感じずに幸せな気持ちで満たされているならば発達障害という診断は不要です。

投薬によって症状が穏やかになるケースもありますが、投薬では改善しなかったり効果がみられなかったりする場合も多いので、幼児期に大切なアプローチは“心の健康維持”や”生活環境の整備”が最も大切になります。

 

例えば、素敵な世界観をお持ちのミュージシャン「SEKAI NO OWARI」のFukaseさんも発達障害(ADHD)という特性を上手に活かした人物です。

“障害”ときくとネガティブなイメージを抱きやすいですが、長所をしっかりと把握し 得意を伸ばしてあげることで、お子様の人生はきっと豊かになるでしょう。

 

発達障害の子供の特徴とは?

発達障害は、発達凸凹と例えられるように、苦手分野が際立つという特徴があります。

特に下記の分野が苦手と感じるお子様が多いので、お子様に合わせて対応・支援していくことが大切です。幼児期にみられやすい発達障害の特徴は下記の通りになっています。

 

  • 注意欠如・多動性障害(ADHD)

→落ち着きがなく、怪我をしやすい。活発でエネルギッシュ。

  • 自閉症スペクトラム障害(ASD)

→他者との関わりが苦手。自分の“好き”に集中するのが得意。

  • 学習障害(LD)

→学習に関わる分野に極度の“苦手”がある。極度の“得意”があることも多い。

 

発達障害は上記の通りに分類されていますが、各領域が複雑に絡み合う場合も多いようです。また、“1つの領域のみを軽度”という場合もあるので、個人差があると覚えておきましょう。

 

環境因子のグレーゾーンとは?

発達障害と診断はできないものの、発達障害のような特徴がみられる場合は『グレーゾーン』といわれることがあります。

診断を要するほどの症状ではないためそう伝えられるケースもありますが、中には環境因子によるグレーゾーンのお子様も多いため、保護者はその点を理解し判断する必要があります。

 

例えば、環境因子によるグレーゾーンの場合、「アタッチメントの形成の不十分さ」が理由としてあげられます。アタッチメントとは親子間での愛着や情緒的なつながりのことを指しますが、アタッチメントの形成が不十分なお子様は、攻撃性が高くなったり情緒が不安定になりやすかったりします。

 

上記のような特徴をもつ子どもの言動は発達障害の衝動性に非常に似ているため、“発達障害は育て方により生じるもの”“落ち着きのなさは親の責任”といった誤った認識が広がったようです。

しかし、「発達障害は脳の影響によるもの」「グレーゾーンは環境因子によるもの」と適切に理解しなければ、愛情いっぱいに育てているママ・パパを悲しませてしまうこともあるでしょう。

 

ぜひこの機会に正しい知識を増やし、辛い思いをしているママ・パパに寄り添ってあげるようにしましょう。

 

子供の言動が気になったら…

簡単にいってしまうと、幼児期のうちは「〇か月検診」などで異常を指摘されなければ気にすることはありません。

というのも、発達障害の診断は生活に影響があるか否かが判断基準になるため、幼児期に診断をされることは非常に稀なケースといえるでしょう。そのため、就学後小学校に診断の必要性を尋ねる流れで問題ないのです。

 

実際に私の息子は検診の際に吃音を指摘され診断機関に行くことになりましたが、結局様子観察のみとなりました。

その後幼稚園は問題なく過ごし、小学校でもほとんど問題なく過ごせています。ただ、集中力が継続できない旨を指摘されたので児童精神科に通院することに。息子の場合は集中力が続かず板書が出来ないというものでしたが、現在は投薬を受けながら、通常学級に不便なく通い続けています。

 

つまり検診で指摘されない程度であれば気にしすぎなくても大丈夫!指摘されてからの対応でも遅いということはないでしょう。

 

アドバイスを受けやすい環境を作ることも大切

ただ「診断はされていないけれど、やはり気になる…」というお子様想いのママ・パパにひとつアドバイスがあります。それは“周りがアドバイスをしやすい環境作りをする”というものです。

 

というのも、最近は先生から保護者に「発達障害の可能性がある」というセリフを伝えるのはNGになっているため、専門医のサポートが必要であると感じても、その旨を保護者に伝えるのが難しくなっています。

 

そのため、“周りについていけていなくて困っているようだ”と保育現場・教育現場で感じたとしても保護者に伝えることができません。その結果対応が遅れてしまい、孤立したり学力が低下したりと子どもにとっての不都合が生じはじめるのです。

 

しかし、保護者が「家では落ち着きがないのですが大丈夫ですか?」といったように尋ねれば、真実を引き出すことができます。そして、ここまできいても大丈夫と伝えられたなら、現段階では心配しなくても大丈夫と判断することもできます。

 

発達障害の子供との理想的な関わりとは?

発達障害のお子様と関わるうえで最も大切なことは、お子様の「自信」「生きる力」をしっかり育てることです。発達障害があると、自信が失われやすくなるため、不登校や引きこもりなど二次障害を引き起こしやすくなります。

発達障害のあるお子様は集団生活が必須となる幼児期・学童期が踏ん張りどころです。大学まで進学すれば得意なことばかりを勉強できるようになるので、この時期まで意欲を失わないことが大切です。

 

いつまでもやる気があふれるADHD、得意が伸びるASD、固定概念に縛られないLD。長所を認めてもらえる時期はすぐそこです。

しかし、自信を失ったお子様は長所を伸ばすことが困難になるため、ママ・パパが理想的な関わり方を意識するようにしましょう。

 

そこで次に、自信や意欲、生きる力を引き出すための理想的な関わり方をご紹介します。ぜひ下記の内容を日々の子育てに取り入れてみてくださいね。

 

【生活編】お子様の“気持ち”を大切に

発達障害をお持ちのお子様は、自分の「理想のペース」「こだわり」を強く持っています。そのため、時間の許す限り、お子様の意思・欲求に寄り添うことが大切です。

どうしても急いでいるときは、「砂時計の砂が全部落ちるまで」や「30数えるうちに準備をはじめる」など、時間の限度をわかりやすく伝えるのがおすすめです。ただしこの方法は強制させる方法なので、必要な場合にのみ行うようにしましょう。

また、声のトーンを明るくするなど優しい配慮を心がけるようにしましょう。

 

【食事編】素材の味を大切に

発達障害のお子様は偏食傾向にあります。特に幼児期は味覚に敏感なので、薄味や素材の旨味が引き立つ料理しか口にできないということもあるでしょう。

ただ、偏食は少しずつ落ち着いてくるので、無理強いをしないのがポイントです。

蒸しいもやバナナなどをおやつに取り入れ、こまめに栄養補給を行いましょう。また、無添加の冷凍食品として定評を得ている『FIT FOOD HOME』のおかずは、“偏食がちのお子様でも食べられた”という声が多いサービスです。
また、冷蔵のサービス【シェフの無添つくりおき】もあります。

シェフの無添つくりおきを試してみる

せっかく作った料理でも食べてもらえず、食べ残しがあったら悲しいですよね。また、食事準備の時間を家族との時間や自分の時間に使えるので気になる方は、お試しください!

 

 

【マインド編】“誰のことも責めない気持ち”を大切に

発達障害をお持ちのお子様の子育てで最も大切なことは、“誰のことも責めない”です。

発達障害をお持ちのお子様は、やはり失敗をしてしまうことが多くなります。しかし、お子様のそのときの精一杯であったことをママ・パパはしっかり認めてあげましょう。そして、失敗を責めずに 今後の生活に活かしていくことが大切です。

何かあったときは「仕方がない」の気持ち、うまくいっているときは「ありがとう」の気持ちを大切にすると、家族全員が笑顔で過ごせるでしょう。

 

「保育士」「発達障害児ママ」としてのアドバイス

発達障害の有無にかかわらず子ども達は「可能性の種」を多く持って生まれてきます。そのため、その種に愛情という水を注ぎ、多くの経験という日光を注ぐ必要があるのです。

 

発達障害をお持ちのお子様の両親は、苦労や不安、悩みも多くあるでしょう。

しかし、職業柄発達障害のお子様を多くみてきましたが、ママ・パパに愛されているお子様は笑顔が多く可愛らしいお子様ばかりでした。そして、長所がとびぬけているお子様が多かったので、「将来が楽しみだな」と勝手に期待をしてしまう機会も多くありました。

 

不安に包まれているママ・パパは子どもを育てるという本質に気づき、お子様と笑顔があふれる優しい関わりを意識しましょう。そしてどんな長所が花開くか楽しみに待ちましょう!