学童保育に子どもを預ける条件とは?種類別のちがいを知って準備しよう

学童保育は、共働きやひとり親家庭などの小学生を、放課後または長期休業期間中に預かって保育します。

新一年生のお子さんがいるご家庭では、「預ける条件は?」または「仕事を時短にしても預けられる?」といった、学童保育に預けるための条件が気になる人もいるはずです。

この記事では、学童保育に子どもを預ける際の条件について解説しています。3種類ある学童保育、それぞれの特徴も紹介します。

スムーズに新生活へ移行できるように、子どもの放課後の過ごし方について検討し準備しておきましょう。

 

学童保育3種類それぞれの特徴とは?

学童保育3種類の特徴

学童保育には次の3種類があります。

  •  ・公立学童保育(放課後児童クラブ)
  •  ・放課後子ども教室
  •  ・民間学童

それぞれの特徴について紹介します。

 

公立学童保育(放課後児童クラブ)

公立学童保育は、放課後児童クラブや児童育成クラブといった、地域によって呼ばれかたが異なる厚生労働省管轄の公立の学童保育です。

対象者 保護者が仕事、病気、妊娠・出産、介護などで昼間自宅にいない、または世話ができない小学校1~3年生頃までの児童(特別支援学校では小学校6年生まで)
目的 遊びや生活の場の提供
活動内容 宿題や自習の見守り、外遊びや施設内での遊び、おやつの提供

放課後子ども教室

放課後子ども教室は、文部科学省が管轄する学童保育のことです。地域住民が、安全管理員や学習アドバイザーを任されており、学習やスポーツ活動などを提供をしています。

対象者 すべての児童
目的 安心で安全な場所の確保、児童館や保育所などの活用

 

民間学童保育

民営の学童保育は、企業やNPO団体などが運営する学童保育です。行政からの支援がなく運営しているため、公的な学童保育と比較すると料金が高い傾向にあります。

対象者 すべての児童
目的 放課後の子ども預かり、習い事送迎サービス、食事提供サービスなど施設によってサービスは異なります。

 

 

公立学童保育(放課後児童クラブ)に預ける条件

厚生労働省が管轄する学童保育(放課後児童クラブ)に預ける条件は、自治体や定員数によって異なります。

たとえば、「就労日数が週3日以上または月12日以上あること」のような、就労日数や勤務時間による制限が設けられていることがあります。

そのため、申し込みには勤務状況を証明する就労証明書の提出が必要です。就労証明書は会社が記入する書類なので、早めに会社へ提出しましょう。

申し込み用紙は、小学校入学前の説明会で配布されることが多く、申込期間や条件について確認しておく必要があります。

申請する子どもが多い自治体では、前年から一次申請が始まるケースもあるようです。選ばれる基準としては、フルタイムで働く家庭やひとり親の家庭、祖父母などの預け先がない家庭が優先して選ばれます。

もし、公立の学童保育が利用できない場合は、地域の住民によって運営されている放課後子ども教室や、民営の学童保育を利用しましょう。

 

学童保育の利用料金

公立の学童保育の利用料金は、自治体によって異なります。一般的には公立の学童保育の方が民間の学童保育よりも料金が安くなる傾向です。

料金の相場は、

  • ・公立学童保育(放課後児童クラブ) 月額4,000円~8,000円程度

自治体によって、おやつ代のみの徴収や月額10,000円以上かかる自治体もあり様々です。兄弟で通うことで料金の減額や、所得に応じた料金の減額もあります。利用するときは、自治体や学校へ確認しておくといいでしょう。

  • ・民間が運営している学童保育 月額25,000円~50,000円程度が相場

習い事や塾のようなサービスが提供されているため、月額料だけではなく入会金や送迎費用が必要な施設もあります。

 

学童保育の課題への取り組み

学童保育課題への取り組み

学童保育には、待機児童の解消という課題があります。政府がまとめた対応策は放課後児童対策パッケージに示されています。

 

放課後児童対策パッケージ2025

放課後児童対策パッケージ2025は、「小一の壁」を打破するための政府の取り組みをまとめたものです。

2024年5月時点の待機児童数は1.8万人、2023年の同時期1.6万人と比べて待機児童は増えています。

その原因として、

・女性の就業率の増加
・受け皿となる施設整備により潜在的なニーズが高くなっている

などの理由があります。

参考:こども家庭庁:放課後児童対策パッケージ2025

待機児童解消に向けた取り組みとしては、「場の確保」「人材の確保」「適切な利用調整」があります。

主な6つの対策

放課後児童対策パッケージに示される6つの対策は次の通りです。

  1. ・夏休みの開所支援
  2. ・小学校1年生の待機児童解消
  3. ・民間の新規参入支援
  4. ・補助事業の周知
  5. ・緊急的に受け入れが増加した場合の安全対策
  6. ・関係者間の連携協力

待機児童は、夏休み前に多くなり、それ以降は減少傾向です。学童保育の開所のあり方を見直し、保護者の不安が大きな、小学校新一年生の待機児童の解消に重点をおいて進められています。

学校内での受け入れ施設の整備や、学校外の民間の施設整備(補助の引き上げ)、保育所や児童館などの活用によって、多様な学童保育の場の確保を推進しています。

人材の確保も大きな課題です。職員の業務負担を増やさない取り組みとして、保育所やハローワークと連携した人材確保も実施されています。

 

小一の壁は乗り越えられる?

子どもが小学一年生になると、保育園に通っていた頃よりも帰宅時間が早くなり、共働きやひとり親の家庭では、仕事と育児の両立が難しくなるケースがあります。

このような「小一の壁」を乗り越えるには、学童保育の利用や勤務時間の見直しといった対応が必要です。

ところが、東京都や埼玉県、千葉県などの一部地域では、学童保育の待機児童が出ており、受け皿の少なさが課題となっています。

東京都練馬区では、

・地区公民館や児童館の子ども向け開放
・地域住民によって運営される「小学校を活用したひろば事業」

などの待機児童解消に向けた取り組みが進められています。

 

学童保育の利用に関して積極的に情報収集しよう

一方で、たとえ待機児童解消に向けて新しく施設が開所されたとしても、情報が周知されておらず、利用されないケースも少なくありません。練馬区では、保護者への説明会を開催して、利用が促進されるように周知に努めています。

実際、公立の学童保育以外の受け皿に関する情報は、保護者からは探しにくく、ホームページなどで公開されていない場合もあります。

情報にアクセスができないと、公立学童保育の条件に満たない場合や定員超過で利用できなかった場合に、仕事と育児の両立が難しくなって仕事をやめてしまう可能性もあるでしょう。

このような状況を避けるためにも、地域や自治体からの情報にアンテナを張りつつ、地域にどのような預け先があるのか、私たちも積極的に情報収集ができるといいですね。