「化学調味料」は放送禁止?「無添加」食品表示のルール改正の背景

私たちが食品を選ぶときは、まず目に入ってくるパッケージからその商品がどういう商品なのかをイメージします。

「無添加」と記載がされていると、それだけで「健康に良さそう」とか、
無添加表示のないものと比較して「きっとこちらの方が丁寧につくられている」と想像することがあります。

「無添加」と表示された商品が、実際にどのような原材料を使用していて、何を添加していないのかがわからないにも関わらず、イメージだけで商品を選ぶことは少なくありません。

消費者が、正しく商品を理解して選択できるように、食品表示のルールが改正されました。
その商品が、実際はどのような商品なのかを判断するために、私たち自身が知識をつける必要があります。

この記事では、うま味調味料を例にして、食品表示による表記ルールが改正された背景や食品を選ぶポイントについて解説しています。

 

「化学調味料」を「うま味調味料」と表現するのはイメージを変えるため

テレビなどのメディアでは、「化学調味料」という言葉の使用は禁止されています。

もともとは、1950年代の料理番組で、具体的な商標・商品名を避けるため、「化学調味料」という言葉が用いられました。その頃は、「化学」という言葉に先進的なイメージがあったのですが、時代の変化とともに「化学調味料」という名称が、食品表記としてネガティブな印象をもつようになりました。
名称によるネガティブなイメージを変えるために、1980年代以降は、化学調味料の「化学」という名称を避けた「うま味調味料」という名称が使われるようになっています。

 

うま味調味料とは?

うま味調味料とは、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸などのうまみ成分を発酵法により使いやすく製造した商品のことです。

料理に入れることでうま味やコクが加わり、素材の味が引き立ちます。家庭で使われるうま味調味料には、グルタミン酸ナトリウム・イノシン酸ナトリウム・グアニル酸ナトリウムが配合されています。
グルタミン酸は昆布に含まれるうまみ成分で、たんぱく質を構成する20種類のアミノ酸の一つです。人間をはじめとする生物や微生物は、みんな自ら体内でグルタミン酸をつくりだしています。赤ちゃんが飲む母乳にもグルタミン酸は多く含まれ、赤ちゃんはうま味を識別することができます。うま味成分は、私たちが生まれてすぐのころから慣れ親しんだ味なのです。

うま味調味料には、グルタミン酸だけではなくイノシン酸やグアニル酸のうま味成分も含まれます。相乗効果によって、うま味成分が1種類のときよりも2種類以上を組み合わせたときのほうが、より味に深みがでるからです。
ちなみに、イノシン酸はかつお節などの肉や魚、グアニル酸はシイタケに多く含まれるうま味成分です。

 

消費行動に影響する食品表記によるイメージ

うま味調味料という名称を一般化させている一方で、無添加商品のラベルには、「化学調味料無添加」や「化学調味料不使用」と記載されているものが少なくありません。消費者に「無添加」を強調して伝えるために、対照的な「化学」という表現を使った表記をよく見かけます。
表記によるイメージは、無意識に消費者に影響を与えます。化学調味料=うま味調味料は安全性が低いものとイメージされる可能性があるかもしれません。

実際に、日本うま味調味料協会の調査によると、化学調味料無添加と書かれている商品は、化学調味料を使用した商品よりも安全であると答えた人が46%で、そうは思わないと答えた人が29%でした。

では本当にうま味調味料は安全性が低いのでしょうか?ここからは、食品添加物の安全性について解説していきます。

 

食品添加物の安全性は厳しく評価・審議されている

食品添加物は、食品を製造、加工するときや保存するときに添加・混和して使われます。

私たちは日常の食事で添加物を避けることはできません。そのため、食品添加物を食べ続けることによる、健康への影響はどうなのか、その安全性が気になります。
食品添加物は、食べる人にとって何らかのメリットを与えるために使用されていますが、健康を損なわないことが必須です。

食品添加物の安全性は、食品安全委員会、厚生労働省、薬事・食品衛生審議会衛生分科会に評価・審議されています。さらに、一日に食品添加物を摂取する量が、許容量を超えないように使用基準が定められて、安全が管理されています。

安全性を確かめる試験には、さまざまな角度から食品添加物の毒性を調べる試験があります。そのなかでも、ラットやマウスを使った動物実験では、

  • ・食品添加物を食べ続けるとどうなるか
  • ・体内でどのように変化して代謝されるのか
  • ・ガンにならないか
  • ・アレルギーを発症しないか
  • ・生まれてくる赤ちゃんには影響がないか

などが厳しく調べられています。

動物には無害であることが確認できた添加物の量に、100倍以上の安全率が考慮された量が、一日の摂取許容量です。

日本で使用されている食品添加物は、数々の安全性を確認する厳しいテストや、各機関による慎重な評価・審議のうえで認可されています。このことから、日常で摂取する添加物においては安全性が高いといえるでしょう。

 

よくある質問

  • Q1:食品添加物の発がん性が心配です。

A. 食品添加物の使用が許可される前に、発がん性があるかどうかの有無もテストされています。食品衛生法により、発がん性が認められたものは、食品添加物として許可されていません。健康被害があるものは使用できないことになっています。

  • Q2:化学調味料によって味覚障害は起こりますか?

A. 食品添加物による味覚障害や味覚の衰えが起こるという化学的な根拠はありません。口の中にたくさんある「味細胞」が、食べ物の味を受け取ります。この味細胞は一定の期間ごとに入れ替わっているため、食品添加物の摂取による味覚障害が起きることはありません。

  • Q3.:トランス脂肪酸がアメリカなどでは使用禁止されていますが、日本では規制されないのですか?

A. トランス脂肪酸は、食品添加物ではなく、油脂の加工・精製技術「水素添加」によってつくられる油脂です。
日本人のトランス脂肪酸の平均摂取量は、WHOが目標とする1%未満を大きく下回る0.3%といわれています。一方、アメリカでは平均2.2%であるために使用が規制されています。日本とアメリカでは食生活がちがうため、日本人の摂取量は少なく、規制の必要はないとされています。
それよりも日本では、飽和脂肪酸の摂取量が高いという点に注意が必要です。飽和脂肪酸には、トランス脂肪酸と同様の冠動脈疾患のリスクがあるからです。

参考元:食品安全委員会「トランス脂肪酸~リスク評価の意味を知ってほしい~」

 

添加物の不使用表示ガイドラインの改正とは?

食品添加物は、食品安全委員会で安全性が評価された後、厚生労働省で審議され、食品衛生法に基づいて使用基準が決まります。
現状では、「食品添加物不使用」であることを表示する表記規定がなく、食品関連事業者等が任意で「無添加」「〇〇不使用」と表示をしています。そこで、消費者庁では、誤認をまねく可能性のある表示を禁止するために、食品添加物の不使用表示のルールを改正しました。
主な禁止事項はつぎの通りです。

  1. ・ 単に「無添加」と表記されている食品表示→ 何を添加していないかが不明確なため誤認につながる
  2. ・ 人工・合成・化学・天然の用語を用いた食品添加物の表示→ 実際のものより優良な商品であると誤認される、また無添加のものと食品添加物が入ったものを比較した場合に、無添加の食品が優れているとの誤認につながる

など、10項目のルールが定められています。

食品添加物の不使用表示に関するガイドライン(消費者庁)

 

まとめ

化学調味料からうま味調味料へと一般的な呼び名を変更しようとするものの、無添加食品のラベルには「化学調味料不使用」や「化学調味料無添加」といった表記がされています。

  1. ・「無添加」と書かれているものにも、食品添加物と似た原材料が含まれている可能性がある
  2. ・ 食品添加物はあらゆる試験により安全性が管理されているので、日常で摂取する量であれば健康を損なわれない

これらの点から、無添加の食品と食品添加物が入った食品を比較した場合、安全性の優劣はつけられません。

単なる表記のイメージによる消費者の誤認を避けるために、食品添加物の不使用表示ガイドラインの改正が行われました。

ラベルの表示によって食品を選ぶのではなく、正しい知識をもって、何が入っているのか原材料を確認して選びましょう。
また、過度に食品添加物を避けるのではなく、バランスの良い食品選びができるといいですね。

 

参考元:https://www.jafaa.or.jp/(日本食品添加物協会)

 

こちらの記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

 

 

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